○東久留米市認知症総合支援事業実施要綱

平成29年12月19日

訓令乙第157号

(趣旨)

第1 この要綱は、介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)第115条の45第2項第6号の規定に基づき、東久留米市(以下「市」という。)が実施する東久留米市認知症総合支援事業の実施について必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2 この要綱における用語の定義は、法、介護保険法施行令(平成10年政令第412号)、介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)、介護予防・日常生活支援総合事業の適切かつ有効な実施を図るための指針(平成27年厚生労働省告示第196号)、介護予防・日常生活支援総合事業のガイドラインについて(平成27年老発0605第5号)、地域支援事業の実施について(平成18年老発第0609001号)及び東京都認知症疾患医療センター運営事業実施要綱(平成23年22福保高在第536号)の例による。

(事業)

第3 東久留米市長(以下「市長」という。)は、次に掲げる事業を行うものとする。

(1) 認知症初期集中支援推進事業

(2) 認知症地域支援・ケア向上事業

(3) その他認知症である人、その家族等に対する支援に必要な事業

(事業の委託)

第4 市長は、第5及び第13に掲げる事業の全部又は一部について、法第115条の47第1項の規定に基づき、市長が適当と認める者に委託することができる。

(認知症初期集中支援推進事業の目的)

第5 市長は、認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けられるために、認知症の人やその家族に早期に関わる認知症初期集中支援チーム(以下「支援チーム」という。)を配置し、早期診断及び早期対応に向けた支援体制を構築することを目的とする認知症初期集中支援推進事業を行う。

(支援チームの配置及び役割)

第6 支援チームは、認知症に係る専門的な知識及び技能を有する医師の指導の下、複数の専門職が家族の訴え等により認知症が疑われる人又は認知症の人及びその家族を訪問、観察・評価、支援等初期の支援を包括的並びに集中的に行い、自立生活のサポートを行うものとする。

2 支援チームは、第5の目的を達成するために必要な機関及び専門職等と連携し、情報が共有できる仕組みを確保するものとする。

(支援チームの構成)

第7 支援チームは、専門職2名以上及び専門医1名の計3名以上の者(以下「チーム員」という。)で編成する。

(1) 専門職2名以上は、次の全てを満たす者とする。

ア 医師、歯科医師、薬剤師、保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士、精神保健福祉士、介護支援専門員又はこれらに準ずる者であり、かつ、認知症の医療や介護における専門的知識及び経験を有すると市長が認めた者

イ 認知症ケア又は在宅ケアの実務・相談業務等に3年以上携わった経験がある者

(2) 専門医1名は、次のいずれかに該当する認知症サポート医研修を受講した者(受講予定の者を含む。)とする。

ア 日本老年精神医学会又は日本認知症学会の定める専門医

イ 認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師

2 チーム員は、国が別に定める「認知症初期集中支援チーム員研修」を受講し、必要な知識及び技能を修得するものとする。

3 前項の規定にかかわらず、市長は、やむを得ないと認める場合には、国が定める研修を受講したチーム員が当該受講内容をチーム内で共有することを条件として、同研修を受講していないチーム員が事業へ参加することを認めることができる。

(チーム員の役割)

第8 第7第1項第1号の専門職は、第5の目的を果たすために認知症が疑われる人又は認知症の人の包括的観察・評価に基づく初期集中支援を行うために訪問活動を行う。

2 第7第1項第2号の専門医は、他のチーム員を援助し、認知症に関して専門的見識から指導、助言等を行い、必要に応じて前項の訪問活動に従事する。

(訪問の方法等)

第9 認知症が疑われる人又は認知症の人及びその家族を訪問する場合のチーム員数は、初回の観察・評価の訪問時は、原則として、医療系職員と介護系職員それぞれ1名以上の計2名以上とする。

2 認知症が疑われる人又は認知症の人及びその家族の訪問に係る記録は、チーム員である保健師又は看護師が行う。ただし、チーム員でない地域包括支援センター、認知症疾患医療センター等の保健師又は看護師が訪問した上で記入を行うことを妨げない。

(訪問支援対象者)

第10 訪問支援対象者は、市内に在宅で生活し、かつ、認知症が疑われる人又は認知症である人で、次の各号のいずれかに該当するものとする。

(1) 医療サービス若しくは介護サービスを受けていない若しくは中断している人で、認知症疾患の臨床診断を受けていない人又は適切な介護サービスに結び付いていない人

(2) 医療サービス又は介護サービスを受けているが認知症の行動・心理症状が顕著なため、対応に苦慮している人

(認知症初期集中支援推進事業の内容)

第11 認知症初期集中支援推進事業の内容及び方法は、次に掲げるとおりとする。

(1) 地域住民並びに関係機関及び団体に対し、支援チームの役割や機能について広報活動や協力依頼を行う等の取り組みを行うこと。

(2) 認知症の初期集中支援の実施

ア 訪問支援対象者の把握

(ア) 市長は、支援チームが必ず地域包括支援センター及び認知症疾患医療センター経由で訪問支援対象者に関する情報を入手できるように配慮すること。

(イ) チーム員が直接訪問支援対象者に関する情報を知り得た場合においても、地域包括支援センター及び認知症疾患医療センターと情報共有を図ること。

イ 情報収集及び観察・評価

(ア) 訪問支援対象者のほか、家族等あらかじめ協力の得られる人が同席できるよう調整を行い、訪問支援対象者の現病歴、既往歴、生活情報等に加え家族の状況等を情報収集すること。

(イ) 信頼性及び妥当性の検証がされた第9第2項の記録を用いて、認知症の包括的観察・評価を行うこと。

ウ 初回訪問時の支援

(ア) 初回訪問時に、認知症の包括的観察・評価、基本的な認知症に関する正しい情報の提供、専門的医療機関への受診や介護保険サービスの利用の効果に関する説明及び訪問支援対象者やその家族の心理的サポート、助言等を行う。

(イ) (ア)の説明及び助言等は、おおむね2時間以内を目安として行うこと。

エ 専門医を含めたチーム員会議の開催

(ア) 初回訪問後、訪問支援対象者毎に、観察・評価内容を総合的に確認し、支援方針、支援内容、支援頻度等を検討するため、専門医も含めたチーム員会議を行うこと。

(イ) (ア)の会議の開催に当たり、必要に応じて、訪問支援対象者のかかりつけ医、介護支援専門員、本市関係課職員等の参加も依頼すること。

オ 初期集中支援の実施

(ア) 医療機関への受診が必要な場合の訪問支援対象者への動機付けや継続的な医療サービスの利用に至るまでの支援、介護サービスの利用等の勧奨・誘導、認知症の重症度に応じた助言、身体を整えるケア、生活環境等の改善等の支援を行うこと。

(イ) (ア)の支援は、訪問支援対象者が医療サービスや介護サービスによる安定的な支援に移行するまでの間とし、おおむね最長で6か月を目安として行うこと。

カ 引継ぎ後のモニタリング

(ア) 初期集中支援の終了をチーム員会議で判断した場合、認知症疾患医療センター、地域包括支援センターの職員や担当介護支援専門員等と同行訪問を行う等の方法で円滑に引継ぎを行うこと。

(イ) チーム員会議において、引継ぎの2か月後に、サービスの利用状況等を評価し、必要性を判断の上、随時モニタリングを行うこと。

(ウ) 訪問支援対象者に関する情報、観察・評価結果、初期集中支援の内容等を記録した書類は、初期集中支援の終了後5年間保管しておくこと。

キ 支援実施中の情報の共有

(ア) 訪問支援対象者の情報を地域包括支援センター等の関係機関が把握した場合には、支援チーム及び認知症疾患医療センターに情報を提供する等により情報共有を図り、事業実施すること。

(3) 医療機関、関係機関との連携及び情報の共有に関する事業

(4) その他認知症の初期集中支援に関し必要な事業

(認知症初期集中支援チーム検討委員会の設置等)

第12 市長は、医療・保健・福祉にかかわる関係者から構成される認知症初期集中支援チーム検討委員会(以下「検討委員会」という。)を設置し、検討委員会が関係機関・団体と一体的に当該事業を推進していくための合意が得られる場となるよう努めるものとし、次の事項について、検討を行うものとする。

(1) 支援チームと医療関係者との連携を図るため、認知症疾患医療センターや医師会との事前協議に関する事項

(2) 主治医(かかりつけ医)に対する連絡票等情報共有化に向けたツールの作成やそれを用いた地域の連携システムに関する事項

(3) 認知症に関する関係機関・団体との連携に関する事項

(4) 支援チームの活動状況に関する事項

(5) その他支援チームの活動及び認知症ケアに関する必要な事項

2 検討委員会の委員の基準、定数、任期等は、次のとおりとする。

(1) 検討委員会は、医療・保健・福祉・住環境・情報等に携わる関係機関の代表者等から市長が任命又は委嘱する委員16人以内をもって組織する。

(2) 委員の任期は、2年とする。ただし、再任は妨げない。

(3) 委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の在任期間とする。

3 検討委員会に委員長及び副委員長を置き、その選定の方法、役割等は、次のとおりとする。

(1) 委員長及び副委員長は、委員の互選によりこれを定める。

(2) 委員長は、委員会を代表し、会務を総理する。

(3) 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるとき又は委員長が欠けたときは、その職務を代理する。

4 検討委員会の会議は、委員長が必要に応じ招集し、委員長が議長となる。

5 検討委員会の庶務は、福祉保健部介護福祉課において処理する。

(認知症地域支援・ケア向上事業の目的)

第13 市長は、認知症の人が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるために、認知症の容態の変化に応じ、すべての期間を通じて、必要な医療、介護及び生活支援を行うサービスが有効的に連携したネットワークを形成し、認知症の人に対して効果的な支援が行われる体制を構築するとともに、地域の実情に応じて認知症ケアの向上を図るための認知症地域支援・ケア向上事業を行う。

(推進員の配置)

第14 市長は、認知症疾患医療センターを含む医療機関、介護サービス及び地域の支援機関の間の連携を図るための支援並びに認知症の人及びその家族を支援する相談業務等を行う認知症地域支援推進員(以下「推進員」という。)を配置する。

2 推進員は、いずれかの要件を満たす者とし、地域包括支援センター、本庁舎等に各1名以上配置するものとする。

(1) 認知症の医療や介護における専門的知識及び経験を有する医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士、精神保健福祉士又は介護支援専門員

(2) 前号以外で認知症の介護や医療における専門的知識及び経験を有する者として市長が認めた者

3 市長は、必要に応じて東京都と連携しながら、研修会や関係者によるネットワーク会議等の機会を通じて、推進員の活動を行う上で有すべき知識の確認と資質の向上に取り組むものとする。

(推進員の業務内容)

第15 推進員の行う認知症地域支援・ケア向上事業の内容及び方法は、次の各号に掲げるとおりとする。

(1) 医療・介護等の支援ネットワークの構築等

ア 認知症の人が認知症の容態に応じて必要な医療や介護等のサービスを受けるための関係機関との連携体制の構築

イ 検討委員会との協力による認知症ケアパス(状態に応じた適切な医療や介護サービス等の提供の流れ)の作成及び普及

(2) 認知症対応力向上のための支援

ア 認知症疾患医療センターその他の病院・施設等における処遇困難事例の検討及び個別支援

イ 在宅で生活する認知症の人や家族に対する効果的な介護方法などの専門的な相談支援

ウ 認知症多職種協働研修等の実施

(3) 相談支援・支援体制構築

ア 認知症の人や家族等への相談支援

イ 支援チームとの連携等による、必要なサービスが認知症の人や家族に提供されるための調整

(守秘義務等)

第16 チーム員、推進員及び受託法人等は、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)及び東久留米市個人情報の保護に関する法律施行条例(令和4年東久留米市条例第20号)の規定を踏まえ、訪問支援対象者及びその家族等の個人情報並びにプライバシーの尊重並びに保護に万全を期すものとし、正当な理由がなくその事業に関して知り得た個人に関する情報その他の秘密を他に漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

(報償)

第17 チーム員及び検討委員会委員に対しては、職務の遂行に要する報償等を予算の範囲内で支給する。

(委任)

第18 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は別に定める。

この要綱は、平成29年12月19日から施行する。

(令和5年3月15日訓令乙第19号)

この訓令は、令和5年4月1日から施行する。

東久留米市認知症総合支援事業実施要綱

平成29年12月19日 訓令乙第157号

(令和5年4月1日施行)

体系情報
第6類 福祉保健部/第3章 介護福祉課
沿革情報
平成29年12月19日 訓令乙第157号
令和5年3月15日 訓令乙第19号